残夢


私はずっと美しい男になりたかった


女が好きなわけでは無い


ただ、ずっと美しい男になりたかった


その造形を愛していた


美しい女ではなく

可愛い女でもなく


美しい男になりたかった


その骨も皮も筋肉も

全部全部欲しかった


美しい男にしか似合わない笑みも

美しい男にしか許されない所作も

全部全部欲しかった


だからせめてそれらを手元に置いておきたくて

たくさんたくさん男を手に入れたけど


何の意味もなかった


何度目覚めても

鏡に映るのは昨日と変わらない女の顔だった